「日本酒の新しい楽しみ方を知りたい」「日本酒のことをもっと知りたい」、そんな人にオススメのアイデアやヒントを探る日本酒コラム。 銘柄の知識よりも、暮らしに驚きを添える『発見と新体験』を大切に、日本酒の楽しみ方を探っていきましょう。 5月のテーマは「旅行×日本酒」 GWに旅行へ出かけた方も多いと思います。日本は四季折々の景色もさることながら、全国各地の食文化や伝統工芸も非常に奥深いものがあります。 今回はそんな国内旅行をより楽しむべく、日本酒と旅行を絡めた楽しみ方に焦点を当てていきたいと思います。

1. 日本全国に酒蔵は1000蔵以上!

北は北海道から南は沖縄まで、日本酒の酒蔵は国内全ての都道府県に存在します。
各地に名所、名物があるように、その土地ならではの日本酒が必ず造られています。

酒蔵といえば自然が多く周囲を田んぼに囲まれたような場所を想像される方も多いかもしれません。しかし、実は東京都内にも約10蔵あり、中には23区内で酒造りをしている酒蔵もあるくらい、私たちの生活に身近なところにも酒蔵は存在しています。

普段皆さんがスーパーや酒屋さんで目にする日本酒は、全国にある様々な銘柄のほんの「氷山の一角」です。むしろ全国流通している日本酒は全体から見ればごく少数。多くの酒蔵は製造量などを理由に、地元での消費だけで完結しています。

しかしこの状況の裏を返せば、これだけなんでもすぐ手に入る時代になったとはいえ、旅先では「今まで見たことも聞いたこともない日本酒に出会える可能性」がまだまだ眠っているということです。

旅行に出た際、「そういえばこの辺りにはどんな日本酒があるのだろう?」と少しだけ気にかけてみてください。思いがけず美味しい日本酒と出会えるかもしれません。

そして良い出会いがあった際には、地元の食事と一緒に楽しんだり、お土産にして友人と旅の思い出を共有していただけますと幸いです。

2. 食文化と楽しむご当地日本酒

旅先での食事は、その土地の歴史や風土を舌で感じる最高のエンタメです。そして、その食の魅力をさらに何倍にも引き上げてくれるのがご当地の日本酒「地酒」の存在です。

日本酒の多くはその土地の食材や水、そして「人々の暮らし」に寄り添うように進化してきました。そこには「ペアリング」などの考え方以前に、「地元の料理や酒をこんなふうに楽しみたい/楽しんでもらいたい」という造り手の想いが込められています。

例えば、旅先のお店や宿泊先のダイニングでは、「このお料理に合う地元の日本酒をお願いします」と頼んでみてください。まずは細かく考えず、地元の方がオススメしてくれる楽しみ方で一献いただくのもよいと思います。

無論、ご自身で「この組み合わせで楽しみたい!」という考えのある方は遠慮なくそれを試してみてください。一番大事なことは、「美味しく楽しむこと」です。

美味しい料理と地酒の出会いは、きっと皆さんの旅の記憶をより色鮮やかで、忘れられないものにしてくれるはずです。

3. 「酒器」で思い出を持ち帰る

旅行の思い出の残し方は人それぞれ。
写真やお土産など、色々な方法があると思いますが、あえて提案をするならば、「酒器」を持ち帰ってもらいたいと考えています。

日本各地には、その土地の土や気候、歴史から生まれた多様な焼き物やガラス工芸、漆器などがあります。地元の飲食店や宿泊先で日本酒を頼むと、そうした地元の器で提供されることも少なくありません。

手に持った時のしっくりくる重み、土の温もり、あるいは涼やかな口当たり。まずは現地で実際に使い、その手触りや、器から伝わる心地よさを直接感じてみてください。そして「これだ」と思える器に出会えたら、ぜひ自分へのお土産として持ち帰ってみることをオススメします。

旅先で見つけたお気に入りの器があれば、日常の中でもふとした瞬間にあの日の旅を思い出すアイテムになるだけでなく、ホームパーティーなどで会話のきっかけにもなってくれます。

余談ですが、全国を仕事で行脚する身として、「個人的にどういう酒器を選ぶのか?」にお答えすると、私の場合は「お気に入りの作家さんを見つける」ようにしています。同じ地域の器でも、作家さんによって表現は千差万別で、自分好みの一品に出会えた時の喜びもまた格別です。

これからまた夏、秋、冬と連休を利用して旅行に行かれる方も多くいらっしゃると思いますが、その旅先で皆さんが素敵な日本酒や酒器との出会いがありますように!