「日本酒の新しい楽しみ方を知りたい」「日本酒のことをもっと知りたい」、そんな人にオススメのアイデアやヒントを探る日本酒コラム。銘柄の知識よりも、暮らしに驚きを添える『発見と新体験』を大切に、日本酒の楽しみ方を探っていきましょう。 8月のテーマは「ペアリングとマリアージュの違い」です! レストランのメニューやお店の方からの提案で、「ペアリング」や「マリアージュ」という言葉を見聞きされたことのある方も多いと思います。 さてこの2つの言葉、「なんとなく似たような意味で使われているけれど、何が違うの?」という疑問を感じている人もいるのではないでしょうか。 今回は、いつもの食事がもっと楽しくなる「ペアリングとマリアージュの違い」についてご紹介していきます。

ペアリングは「工程」、マリアージュは「結果」

結論から言うと、この2つの違いは「工程(手法)」か「結果(状態)」か、という点にあります。

ペアリング=料理とお酒を組み合わせる「工程」

ペアリング(Pairing)は、その名の通り「ペアを作る」という行為や作業のプロセスを指します。
「お肉の脂をスッキリ流したいから酸味のある日本酒を合わせよう」「甘辛いタレの焼き鳥だから、旨味がしっかりした日本酒を合わせよう」といったように、意図やロジックを持って料理とお酒を結びつける「アプローチ」のことです。

マリアージュ=その結果生まれた「美味しい状態」

マリアージュ(Mariage)はフランス語で「結婚」を意味します。
ペアリングという「工程」を試してみた結果、口の中で料理とお酒が合わさることで、1+1が3にも4にも昇華された「美味しい状態」を指します。単体で食べるよりも、お酒と合わせた方が美味しいと感じた時、その味わいに対して「素晴らしいマリアージュだ!」と表現します。

ちなみに……失敗したペアリングは「破談」!?

ペアリング(工程)を試してみたけれど、お酒と料理の相性が悪く、魚の生臭さが強調されてしまったり、嫌な風味だけが残ってしまったりすることがあります。
これは言わばお付き合いが「破談」したような状態です(笑)。

しかし、この「あれ?失敗したかも!」という体験も含めて楽しんでよいと思います。
お店であれば100点以上のマリアージュを体験したいところですが、自分で試すなら、成功も失敗も体験しながら「あ、これ美味しいじゃん!」を見つけるのも醍醐味の一つです。

 実感してみよう!ペアリングとマリアージュの具体例

「理屈はわかったけれど、どんなふうに試してみよう?」という方のために、今回は4つの例をご紹介します。
私が個人的に好きな「鰻重」をテーマに、狙いを変えた4つのペアリングを考えてみました。

日本酒のマリアージュとペアリング(クラスバアプリ)

◆風味のコントラストで飽きがこないペアリング

【鰻重 × 獅子の里 鮮 活性清酒(石川県)】
瓶内二次発酵のきめ細やかな泡と爽やかな風味が鰻重のコッテリとした味わい、異なる個性を持つ酒と色が生み出すコントラストを生み出す。
「鰻重は味が単調で食べ飽きてしまう」「脂が少し重たく感じる」という方でも、最後まで美味しく食べ切れるようなイメージです。

◆ラグジュアリーな世界観のペアリング

【鰻重 × IWA5Assemblage 4(富山県)】
ドンペリニョンの元最高醸造責任者であるリシャール・ジョフロワ氏が手掛ける、美食のための日本酒。ウッディで爽やかなニュアンスが、鰻重のコクや旨味と軽やかに手を取り合うことで美しいハーモニーを奏でます。洋の作り手と和の伝統素材が融合する世界観を楽しむように、鰻重にワンポイント高級感を付加する特別感を味わいたい人を対象にした合わせ方です。

◆風味と時間軸を重ねて昇華させるペアリング

【鰻重 × MIZUBASHOVINTAGE 2008 大吟醸(群馬県)】
大吟醸の長期熟成酒ならではの、円熟したエレガントな風味。軽やかでありながら奥深いヴィンテージのスケール感を、鰻重のタレが持つ風味や歴史(時間軸)と重ね合わせることで、味わいを一段上へと昇華させます。食べ慣れた鰻重だからこそ「次の一歩先の美味しさ」を発見したい人に最適です。

◆味わいの重ね掛けでボリュームアップさせるマリアージュ

【鰻重 × Tsuchida 麹99%(群馬県)】
鰻重の濃厚なコクや旨味に対して、同様に圧倒的な甘味と旨味のパワーをもつお酒をぶつけることで、相乗効果を生み出すアプローチ。白米とのバランスも考慮し、鰻重でパワーチャージしたい時に、更なるボリューム感と満足感をプラスしてくれます。

結果としては、「どれも美味しく楽しめました」ではあるのですが、個人的に最もハマったのは【MIZUBASHOVINTAGE 2008 大吟醸】との組み合わせでした!

まずは失敗を恐れず「ペアリング」を楽しもう!

「マリアージュさせなきゃ!」と難しく考える必要は一切ありません。
まずは「この料理にこのお酒を合わせたらどうなるかな?」と、宝探しのような感覚でペアリングを実験してみることが大切です。
何回か試していくうちに、ふと「うわっ、なにこれ!?」と口の中で味が化ける、感動的な「マリアージュ」にきっと巡り会えるはずです。

これから徐々に暑さも和らぎ、食欲の秋が近づいてきます。
ぜひお気に入りのおつまみと日本酒で、自分だけのベストペアリングを探してみてくださいね!