「日本酒の新しい楽しみ方を知りたい」「日本酒のことをもっと知りたい」、そんな人にオススメのアイデアやヒントを探る日本酒コラム。 銘柄の知識よりも、暮らしに驚きを添える『発見と新体験』を大切に、日本酒のポテンシャルを探っていきましょう。 3月のテーマは「お花見×日本酒」 桜を愛ながら日本酒を楽しむ花見酒は、王道とも言える春の贅沢。 今回はお花見と日本酒がもっと楽しくなる、そんな豆知識に触れつつお花見で飲みたいオススメ銘柄をご紹介します。

1. 日本人とお花見の歴史

古代から現代に至る「日本人とお花見」の物語は、信仰から娯楽、そして自己表現へと深化してきた歴史です。

その幕開けは弥生時代。文字なき時代のお花見は「信仰」でした。桜は「稲の神(サ)」が降臨する「座(クラ)」とされ、農民たちは桜の開花を合図に神を迎え、豊作を祈って酒を酌み交わしました。これが花見の原点である「農耕儀礼」です。当時の桜は農作業を開始する時期を知らせてくれる神聖なカレンダーとして機能していたと言われています。

そして平安時代、お花見は「風流」へと姿を変えます。嵯峨天皇が催した「観桜の宴」を機に、桜は貴族の美意識の象徴となりました。その後、安土桃山時代には豊臣秀吉が「醍醐の花見」で全国の銘酒を集め、お花見を豪華絢爛な「エンタメ」へと昇華させます。

江戸時代になり、八代将軍・徳川吉宗が隅田川などに桜を植え、「身分に関わらず、誰でも自由に楽しんでよい」とお花見文化を庶民に推奨したことで、いよいよお花見は「大衆娯楽(公園で宴会スタイルの原型)」として爆発的に普及しました。そして明治以降、「ソメイヨシノ」が全国を埋め尽くし、現在の景色が完成します。

そして今、お花見は公園での宴会だけでなく、自宅から桜並木を借景としたり、桜の枝物を室内に生けたりと、個人のスタイルに合わせて「自分だけの桜」を自由に楽しむ時代になりました。

2.オススメしたいお花見スタイル

快適さとリアルを追求したハイブリッドお花見

高層階からの眺望はタワーマンションに住む醍醐味の一つです。地上の喧騒をシャットアウトし、眼下に広がる世界を誰にも邪魔されずに楽しめます。春には上階から眺める桜並木を楽しむこともあるかもしれません。

しかし、桜の香りや春の空気をダイレクトに感じるのが難しいところ。

そんな時にオススメしたいのが、春先に出回る桜の枝物の活用です。これらを室内に生けるだけで、部屋が春の空気を贅沢に感じられる空間へと早変わりします。

気候や外の喧騒を気にすることなく(トイレの行列然り)、食べたいお料理やお酒を用意して家族や友人たちと楽しむお花見をぜひ楽しんでいただきたいと思います。

※桜の枝物は近所の生花店、ネットショップで購入可能です。

3. お花見で飲みたいオススメ日本酒

桜を肴に盃を傾ける。それだけでも十分に楽しめますが、今回は春だからこそ飲みたくなるような、そんなオススメの日本酒を2本ピックアップしました。

日本酒といえば無色透明、もしくは白色のにごり酒のイメージが多いと思います。しかし今回ご紹介する2本は、お花見の桜と同じく柔らかなピンク色の日本酒です。

なぜピンク色なのかは後ほど書きますので、まずは銘柄をご紹介しましょう。

『尾瀬の雪どけ 桃色にごり』

可愛らしいピンク色のイメージとぴったりな甘酸っぱい味わいが特徴です。乳酸飲料のようなまろやかな酸味と優しい甘さに、初めて飲む人は大体びっくりします。

スモークサーモンやモッツァレラチーズ、ハーブやオリーブなど、比較的洋の食材をメインに使用したピンチョスとも相性が良いので、テーブルを華やげる役割にもぴったりの一本です。

『愛宕の松 はるこい』

同じピンク色でも、こちらはさっぱりと滑らかな口当たりが特徴的。甘みはあるものの、ほんのり炭酸ガスのチリチリ感も孕みつつ、適度にドライな印象です。「サラッと飲みたい」「いわゆる日本酒っぽい味わいが好き」という人にはこちらの方がオススメです。

和のおつまみを合わせても違和感なく馴染むので、いろんな種類の手毬寿司と一緒に楽しんでも良いかもしれません。

なんでピンク色なの?

ピンク色の日本酒、これは着色料ではありません。「赤色酵母」という発酵する過程で赤い色素を出す特殊な酵母を使って日本酒を醸すとこのようなお酒が完成します。

お米の色は白なので、そこに赤い色素が加わりピンク色になる、という仕組みです。

赤色酵母で仕込むお酒の特徴は大きく3つあります。

・甘酸っぱく優しい味になりやすい

・低アルコールになりやすい

・美しいロゼ色(澱が絡むとピンク色)になる

日本酒を普段口にしない人や苦手だなと思っている人でも美味しく楽しめることが多いので、機会があればぜひ試してみてください。

それでは、心地よい春の陽気とともに、美味しいお酒と綺麗な景色をぜひお楽しみください!