Jean-Georges Tokyo(ジャン・ジョルジュ トウキョウ)。ニューヨークを本拠地に、世界各地でレストランを展開するジャン・ジョルジュ・ヴォンゲリステン氏が、日本で初めて手がけたレストランだ。フレンチをベースに、ハーブやスパイス、アジアの感覚を織り交ぜた、ジャンルにとらわれない革新的な料理を提供する。
その哲学を、日本で継承しているのが2018年からJean-Georges TokyoのExecutive Chefを務める望月氏だ。

メニューはニューヨークから共有されるレシピが軸となる。そのレシピを日本で再現することの難しさを尋ねると、一瞬視線を落とし「最初は大変でしたね。正直」と、望月氏は苦笑いを浮かべた。
「作り手や土地によって、味は変わる。日本とアメリカでは手に入る食材も違うので、同じ食材を使っても、同じ味を表現するのは難しいですね」
例えば、醤油一つでも、ニューヨークで手に入る醤油と日本の醤油では味わいが違う。丸みのある醤油か、キレのある醤油かによっても印象が変わる。唐辛子をとっても、七味唐辛子や黒七味で辛味の特徴が異なる。味噌もまた、地域によって違いがある。こうした違いを理解し、一皿にまとめていくまでには、時間がかかったという。
ここで、大事な要素となるのが「酸味の取り方」だと話す。
ライムや柑橘類など、酸のある食材を使い、全体のバランスを整えていく。積み重ねられた経験と、研ぎ澄まされた感覚の先に生まれる一皿。細部まで計算されながらも、自然なかたちで仕上がっている。

ジャン・ジョルジュを象徴する料理といえば、「スクランブル・エッグ・キャヴィア」。
まるでオブジェのように整えられた一皿だ。キャヴィアの風味を引き立てるため、卵の味が主張しすぎない赤卵を選び、ミキサーにかけて裏ごし。そこにバター、カイエンペッパー、塩を加え、ゆっくりとかき混ぜながら火を入れていく。仕上がった卵を殻に戻し、ウォッカとレモンをほのかに効かせたクリームを絞り、最後にパリから届いたキャビアリ社のキャビアをのせる。このキャヴィアも色合いや粒の大きさまでジャン・ジョルジュ自身が指定した特別なものだと言う。

ジャン・ジョルジュが大切にしている「フレッシュ」についても尋ねた。
「フレッシュというのは古くないという意味です。フランス料理は、煮込むソースが多いですが、ジャン・ジョルジュの料理は、一瞬で香りを出し、その香りを提供します。最後に皮を削るだけでも、香りがかわります。」と望月氏は話す。ジャン・ジョルジュの料理は、口に入れる前から入れた後まで、様々な香りが楽しめる。その一瞬の香りが、料理の記憶を決定づけている。

「会社の中で一番働きたいお店にしたい。成長できるお店にしたい!」言葉を選びながらも、一見職人気質に見えるシェフから放たれた力強い言葉が印象的だった。
次回は、ソムリエで支配人の中里氏が語る、ジャン・ジョルジュ トウキョウのワインとサービスの哲学に迫る。

Executive Chef 望月良一
ホテルで洋食を学び、イタリアンレストランで経験を積む。一度現場を離れ、生産者の想いを理解するため、畑仕事も経験。その後、ユニオンスクエア トウキョウ、テール・ド・トリュフ トウキョウ、ニューヨークのジャン・ジョルジュで経験を重ね、現在はジャン・ジョルジュ トウキョウの料理長を務めている。
Jean-Georges Tokyo
東京都港区六本木6丁目12-4
六本木ヒルズ けやき坂通り 1F
https://jean-georges-tokyo.jp/